2016年6月26日日曜日

ドクウツギから毒を分離

 以前の記事で紹介したドクウツギの実から毒性の高い成分を抽出する実験をしてみました.
 
 ドクウツギはその実に毒性の高い物質を含んでいます.特に有名なものとしてはツチン(Tutin)やコリアミルチン(Coriamyrtin)があります.ドクウツギの実を食べると,これらの物質が神経に作用して最悪死ぬ,というわけです.

 抽出の手順はアリエナイ理科シリーズを参考にしておりますが,手持ちの薬品の都合上,使用した薬品はほとんど代用品となっています.

 まず,採取してきた実をつぶすところから始まります.2重にしたビニール袋に実を入れ,スプーンで押しつぶしました.このとき種子をつぶしてはいけないようなのですが,実が未熟で硬かったために力を入れすぎて種子をいくつか砕いてしまいました.
 つぶした実をエタノールを入れ,そこにクエン酸を入れて混ぜます.

 おいしそうですね.クエン酸の溶け残りが容器の底に沈んでいたので1日間このまま放置しました.
 その後はろ過します.

 これまたとてもおいしそうです.これでは量が多すぎるため,加熱して溶媒をこの1/3くらいにしました.加熱中はとてもおいしそうな,甘酸っぱいにおいがします.
 この溶液を炭酸ナトリウムで中和し,溶媒で抽出すれば作業は終わりです.エーテルがないのでヘキサンで代用しました.また,分液漏斗もなかったので注射器で代用しました.数回抽出作業を行い,できたヘキサン層のほうを湯煎してヘキサンを飛ばします.しっかり換気しないと危ないですね,引火するし臭いし酔うし.
 
 そしてできたのがこちら

 どう見ても不純物だらけじゃないか!!しかも量少ないし!!
 
 考えられる原因としては,
・種子をつぶしてしまった
・代用した薬品がよくなかった
・溶媒を飛ばすために加熱しすぎた
などです.

 あまりうまくいかなかったので,今回の反省点をしっかり見直し,次に活かしたいです.


2016年6月24日金曜日

ドクウツギの採取

 先日,ドクウツギ(Coriaria japonica)を採取するため山へ行ってきました

 ドクウツギは非常に強い毒をもつ植物です.しかし分布している場所は少なく,なかなか見ることのできない希少種です.初夏から夏にかけてかわいらしい実をつけるため,それを目印に探すことにしました.
 ドクウツギを探しつつ腹ごしらえ.山の幸を満喫します.


 はじめて黄色の野イチゴを食べました.小学生のころ,椋鳩十の小説で「黄色の野イチゴは甘くておいしい」と書かれているのを読んだことがあります.確かに酸味は少ないですがあまりおいしくありませんでした.私は酸味のある赤い野イチゴのほうがすきです.野イチゴを食べていたら手が傷だらけになってしまいました.

 しばらく散策していると,ドクウツギ発見


 初めて見る希少植物に興奮する我.写真からもわかる通り,とてもきれいな実がついています.時期が早かったのか,赤色の実しかありませんでしたが,もうしばらく時が経つとこの実は紫色に変わります.実を少し味見してみると,梅のようなしゃりっとした食感に梅のような酸っぱい味でした(危険ですので真似しないでください).
 この植物は希少なのですが,自生している場所では非常に多くの個体が見られます.おそらく,生育に適した環境がかなり限られており,その環境の下でならそれなりに生命力を発揮するのではないでしょうか.本当に他の植物を圧倒するような勢いで生えているので,なーにが希少種じゃ,という気持ちになります.

 私はもともとこの植物を根ごと掘り出して数株持ち帰ろうと考えていました(レアですので乱獲はNG).しかし,1株が非常に大きい.子株があるかなーと辺りを随分長く探してみたのですが,あまり小さな株はありませんでした.
 仕方がないので見つけた中で比較的小さなものを掘り出してみることにしました.小さなスコップしか持っていなかったため,それで根を傷つけないように掘り進めていきます.掘り進めます・・・.が,一向に終わりが見えない.どうやらドクウツギは太い根をかなり地中深くに伸ばしているようで,これを小さなスコップ1本で丸ごと掘り出すのは至難の業です.結局,「根を傷つけないようになんて言ってられるか!」ということで,根を途中で切断してなんとか1株採取しました.しかしこの植物は非常に弱く,根を適当に切断してしまったのですぐ枯れてしまうと思います.
 結局,1株を持ち帰るのが精一杯でした.それと,実を少し採取してきたので,ここから有毒成分の分離に挑戦します.

 今回分かったことは,
・小型のスコップでは丸ごとの採取は困難
・子株がある時期に採取しに行く方がよい
ということです.また,秋~冬はドクウツギもろとも他の植物も枯れて掘り出しやすくなるようです.もう少ししたらまた行ってみます.


おまけ
 山ではこんな毒草も発見しました.